閖上たこやきの再現イベントを実施。「さいかい市場さ行ぐすぺ! 閖上のたこ焼きこせでみねすか?」

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宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区には、一風変わったたこ焼きがあります。一般的なつまようじで刺して食べるたこ焼きではなく、3つのたこ焼きがお団子のように串刺しになっています。そしてソースを上からかけるのではなく、甘辛い秘伝のソースをどぶ漬けにして食べます。

閖上で育った方の中には、たこ焼きは「あたりまえに串に刺さっている食べ物」として、認識していた方も多くいたそうです。それだけ、地元で愛されつづけていたということです。しかし、長年そのたこ焼きを作っていた橋浦きょさん(当時92歳)が津波の犠牲となり、その味は震災をきっかけに途絶えることとなってしまいました。

閖上で暮らしてきた方々の、味の思い出として残るソウルフード。秘伝のソースの製法は、門外不出であったので、そのレシピを知る方はほとんどいません。そのため、なんとかしてその味を再現しようと、閖上たこやきの味を再現するイベントが2012年8月26日、被災地・名取市閖上の復興仮設商店街である「閖上さいかい市場」にて行われました。

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地元住民の方の、舌の記憶だけを頼りに味を再現

名取・旅おこし講主催のこのイベントでは、宮城県名取市にある尚絅学院大学と明治大学の学生チームが企画運営を担いました。

事前に秘伝のソース再現に挑戦する参加者を募集したところ、3名の閖上出身者の方の参加が決まり、当日は尚絅学院大と明治大の学生達がそれぞれ用意したものも合わせ、計5つソース中から、どれが一番橋浦さんが作ったたこ焼きに近いかをイベントに来場し、試食した方々に投票してもらいました。

外はカリカリ、中はもっちりとしていて、甘辛いソースにどぶ漬けされた橋浦さんのたこ焼きの再現。試食には、橋浦きよさんの娘さんにも来ていただきました。

地元住民の方の、舌の記憶だけを頼りに投票してもらった結果、閖上さいかい市場に出店しているマルタ水産の相澤さんが最高得票で優勝しました。

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イベントを通じて、閖上たこ焼きが復活

橋浦きよさんが作っていた「閖上たこ焼き」の再現イベントは、多くの方々のご協力のもと成功させることができました。このイベントをきっかけに、閖上さいかい市場では、定期的にたこ焼きが食べられるようになりました。

また、再現イベントに参加されていた佐藤幸弘さんも、独自に閖上たこ焼きのお店を開業されています。閖上たこ焼きを一度食べてみたい方は、下記の名取市観光物産協会のホームページから情報をチェックしてみてください。

参照:閖上たこ焼き|名取市観光物産協会

最後に

この再現イベントの様子は、河北新報、読売新聞、東日本放送、フジテレビ等でたくさん報道をしていただきました。

味の思い出というのは、生まれ育ったまちに対する郷愁を強く刺激するものであるため、その味の再現は「閖上」というまちを心の中で生き続けさせていこうという気持ちを高めるうえで、効果的な取り組みとなったのではないでしょうか。

なお、イベントの様子は、復興支援情報サイトである「助け合いジャパン」さんに動画として紹介していただきました。ぜひ、当時の様子をご覧になってみてください。

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