2016年10月22日〜23日にかけて、上野村を訪れるツアーを開催しました。
今回のツアーは、「ふれあう」をコンセプトに上野村の自然とそこに暮らす人々とふれあうことができる内容となりました。ベトナムからの留学生や80代の方など、国籍年齢問わず、計14名の方々にご参加いただきました。
ツアー当日のあれこれを、レポート記事の形でお届けします!
上野村の文化や自然、そこに暮らす人々とふれあう旅
ツアー当日のスケジュールは以下のとおりです。
ツアー行程
10/22(土)一日目
8:30 明治大学駿河台キャンパス前集合
9:00 出発
12:00 昼食
13:30 白井集落と野栗集落に分かれ、上野村の人々と交流
16:30 しおじの湯にて入浴・自由時間
18:30 宿泊施設「木森れ陽」にて夕食
20:00 自由時間
22:00 就寝
10/23(日)二日目
8:30 朝食
12:00 昼食
13:00 木工職人の今井正高さんと交流
14:00 木工加工体験
16:00 上野村出発
19:00 明治大学駿河台キャンパス到着予定
2016年10月22日、天気が気がかりでしたが、幸いにも晴れ模様。
参加者の皆さんが、そくぞくと集合場所の明治大学駿河台キャンパスに集まってきました。大きな遅れもなく、バスに搭乗する4人のスタッフとともに、上野村へと出発しました。
予定通りに行けば、12時前に上野村に着く予定でしたが、道中、事故渋滞にはまってしまい、一時間遅れで昼食場所のレストランヒロに到着となりました。
長時間のバス移動でしたが、昼食を食べ気分をリフレッシュ。午後からは、本ツアーのメインイベントとも言える村の方々との交流のため、白井集落と野栗集落へ行くグループの二手に分かれ、それぞれ集落に向かいました。

郷土料理づくりを通じて、野栗集落の方々と交流
野栗集落へ向かったグループは、集落のみなさんと一緒に、けんちん汁やイモのみそ炒めなどの郷土料理作りをしました。
具沢山なけんちん汁のため、多くの食材を切ります。一緒に手を動かしながら作業をすることで、自然と会話が生まれてきます。
そして、けんちん汁が煮えるのを待つ間、野栗集落の方々が集まる際の恒例行事となっている輪投げに挑戦しました。集中力が必要で、見た目以上に難しかったですが、ツアー参加者の皆さんも大盛り上がり。もしかしたら野栗の皆さんの元気の秘訣は、この輪投げにあるのかもしれません。
みなさんと交流しながら、皆で作ったけんちん汁とイモのみそ炒め、そしてデザートには、手作りのようかんまでいただきました。ベトナムからの留学生は、初めて見るようかんに興味深々。こちらもおいしくいただきました。
野栗集落の方との交流を通じて、上野村での暮らしについて、興味深いお話をたくさん聞くことができました。運営スタッフとしては、村の方々と、参加者のみなさんが笑顔でお話をしている様子を見て、とても嬉しい気持ちになりました。

おてんまの文化を体験し、囲炉裏を囲んで白井集落の方々と交流
白井集落へと向かったグループは、群馬県から長野県につながる道で、昔は荷物の運搬のために使われていた十石街道のお掃除をしました。
鍬(くわ)や鋤(すき)を使って、旧道を通る人が転んで怪我をしないように、白井集落のみなさんと共に、木の根を取り除いたり、石ころ拾いをしました。落ち葉掃きも行い、快適に道を通れるように整備しました。
なぜ、村の方々と共に、お掃除をするのか。それは、僕たちが上野村の「おてんま」という文化に共感し、ツアーに参加された皆さんにもその文化をすこしでも肌で感じてほしいと考えたからです。
「おてんま」とは、北信州に伝わる言葉で、「公共のためにみんなで協力して活動をすること」を表します。河川の清掃や、山道の整備など今でもこの風習が続いており、村の方によると、おてんまこそが村の文化の原点なのだそうです。
清掃後は、白井宿という囲炉裏があり皆が休憩できる場所で、談らんを楽しみました。
「つみっこ」や串に刺した上野村特産の赤いもに、十石みそを豪快につけ、炭火であぶった「芋串」などの郷土料理を出していただきました。

参加者の皆さんとスタッフとの交流
それぞれの集落から、宿泊場所の木森れ陽に移動し、浜平温泉・しおじの湯にて入浴しました。
その後、宿泊施設にて参加者のみなさんと現地に前乗りし準備をしていたスタッフ4名を含めて、バーベキューをおこないました。上野村名産のイノブタや肉厚のしいたけもいただきました。
参加者の方々から貴重なお話を聞くことができましたし、留学生もツアーに参加しているので、英語での会話が所々で聞こえてくるようなグローバルな交流も上野村で行われました。
ベトナムのフォーを食べ、2日目がスタート
旅おこし講の授業には、ベトナムからの留学生も受講しています。彼女の文化も参加者の皆さんに楽しんでほしい!ということで、二日目の朝食はベトナム料理のフォーを作りました。
材料にもこだわり、鶏ガラのスープも前日の夜から仕込んでいました。ネギが違うということを彼女は嘆いていましたが、ベトナムの味を皆さんに味わっていただきました。

上野村の豊かな森の中での森林セラピー
上野村は、総面積の9割以上が森林に囲まれており、国の天然記念物に指定されているシオジ原生林があるように、たくさんの自然が今も残されています。そのため、科学的に癒し効果や病気の予防効果が認められた全国に62ある森林セラピー基地の一つとして数えられています。
今回は、上野村でよたっこカフェを営む黒澤さんに上野村の豊かな森を案内してもらいました。黒澤さんは、カフェの運営のみならず、農業、デザイン、そして森林セラピーガイドなど、幅広い分野でご活躍されています。
よたっこカフェに集合し、まずは黒澤さんからレクチャーを受けました。
その後、遊歩道にもなっている裏山へと向かいました。森の中でお気に入りの場所を見つけ、目を閉じ、風の音や鳥の声、森の音に耳を傾ける…。都会では味わえない時間の流れと心地良さを感じます。
黒澤さんいわく、自分の身近なところでリラックスできるお気に入りの場所を見つけることでも、十分に「森林セラピー」をしたときのような効果はあるとのこと。
今回は、事前に参加者のみなさんのうちの4人の方に、ストレス度チェック(血圧、脈拍、アミラーゼ濃度測定)をしていただき、セラピー後に、どんな変化があるのかを計測しました。4人のうち1人は逆にストレス度が上がっている方がいましたが、その他3人の方は、リラックス効果が数字として表れました。
森林セラピーは、通常一日使ってゆっくりと行うことなので、短時間の間でリラックス効果が出たと言えるかと思います。ただ、あくまでも科学的に見た数字なので、この数字に惑わされず、自分の中でいかにリラックスできたかが重要なのでしょう。

森林セラピー後は、道の駅上野にある琴平で、イノブタ鍋をいただきました。お土産も道の駅で購入です。
職人技と仕事に対する思い
昼食後は、上野村で40年以上に渡り木工職人をしている今井正高さんの工房にお邪魔をし、お仕事についてさまざまなお話をお伺いしました。
木の匂いでいっぱいの今井さんの工房では、実際にロクロを作った研磨作業も実演していただきました。研磨に使う道具は、自らが金属を加工してつくったものを使用しているというから驚きです。

「機械で8割までできても、残りの2割は人の手じゃないと出来ない」
特に印象に残っている今井さん言葉です。
これからの時代、人の手がかけられるところにより価値が生まれるのだと思います。そういった意味では、ものづくりには、ただ「もの」としての物理的な価値だけではなく、職人のこだわりや想い、そして手間が惜しみなくかかっているという決して目には見えない価値があるのではないでしょうか。
ただ、残念なことに現在、今井さんの技術を受け継ぐ後継者がいません。すばらしい技術をどのように受け継ぎ、後継者を育てていくかということは、今井さんの例のみならず、日本全国の課題なのだと思います。
木工加工体験で木にふれる
今井さんの仕事に触れてから、実際に場所を移動し、やすりを使った木工加工体験を行いました。
スプーン、バターナイフ、はしの三種類の中から好きなものを作っていただきました。やすりをかけ自分が作りたい形に仕上げていきます。
最初は同じ形でも、完成品を見てみるとそれぞれの個性が光っていました。
木工加工体験を終え、川の駅上野へ移動し、お土産購入と旅おこし講が開催していた「よそ者写真展」をご覧いただきました。
最後に集合写真を撮影し、本ツアーを締めくくりました。

ツアーを終えて
上野村産業情報センターのみなさんのご協力もあり、怪我も大きなハプニングも無く、無事に予定通りツアーを行うことができました。
上野村には、人と人が繋がり、結びつきあい、お互いに支えあう暮らしがあります。集落での交流を通じて、人と人とのあたたかな関係性を感じていただけたのではないかと思います。そして、短い時間ではありましたが、上野村を実際に訪れたことによって、自然と共生する暮らしを感じていただけたのではないでしょうか。
ぜひ、今回上野村ツアーに参加していただいた方には、また上野村に訪れていただきたいです。そして、定期的に訪れることによって、より深く上野村を知っていただけたらと思います。
2017年度もツアーを行う予定ですので、ご興味ある方は今後とも旅おこし講ホームページまたは、facebookをチェックしていただければと思います。
旅おこし講ホームページ: tabiokoshi.com
Facebookページ:上野村・旅おこし講
:名取・旅おこし講