旅おこしって?

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「旅おこし」とは、「旅」を通じて、地域の方々に、自分たちの文化への誇りと幸福感を持ってもらおうという活動です。以下で詳しく説明しています。ぜひお読みください!

「旅おこし」は「旅」と「地域おこし」を掛け合わせた造語

「旅おこし」は、「旅」をつくることによって「地域おこし」をしようという意味の造語です。ごく普通の食生活や生活習慣、地域行事など、何気ない日常の文化を掘り起こし、地域外の人々に堪能していただく旅をつくること。それも、地元の方々とつくること。これが、私たちの「旅」づくりのプロセスです。

旅おこしとは?

「旅おこし」とは、地域活性化をテーマにした本授業の活動当初に、担当教授である木村乃特任准教授とそのメンバーの活動から生まれた発想で、地元の方々に、自分たちの地域の魅力を実感してもらうための手段です。

地域には様々な元気の源がありますが、実際には、地元の方々自身がその価値に気づいていないということが少なくありません。そのため「旅」を通じて、外部の人たちが感じた喜びや驚きから、地元の方々にも地域の魅力を発見してもらいたいと考えています。そのことをきっかけに、地元の方々が、地域の文化的魅力に誇りを持ち、自ら発信していってほしい・・・。

私たちは、地域にある元気のミナモトを探し出し、地元の方々が、誇り・愛郷心を高め、地域外の人が「行ってみたい」と思える地域づくりを目標としています。

旅おこしの活動が目指すところ「持続可能な地域活性化」

旅おこしをコンセプトとした活動を通じて、私たちは、「持続可能な地域活性化」の実現を目指しています。「持続可能」とは、地元の方々が、主体的に、自分たちの文化や資源に誇りをもって、魅力を発信し続けられる状態のことを指します。

「地域活性化」とは、旅おこしという手段を用いて、地域の文化・魅力を自覚することで、地元の方々が、日々の暮らしの中で、幸せや誇りをより感じられる状態のことを指します。これが私たちの考える理想です。

単に経済活動を活発化させることを意図するものではありません。大切にするのは、地元の方一人ひとりの感じ方であり、幸福感です。

「旅おこし」は、従来の「観光振興」とは異なる新しい旅のコンセプト

「観光振興」は観光客がもたらす外貨を獲得することを目的とした政策です。そのため、観光客の満足の獲得を第一に目指します。これもひとつの地域活性化策でしょう。

しかし、経済的な面ばかりが優先されて、地元の方々の幸福感を脇に置いてしまっているようにも見えます。そのような観光振興だけでいいのか。それが、私たち「旅おこし」を掲げ活動を行っているメンバーが共有する基本的な問題意識です。

現在は、明治大学商学部の学生とその他大学が共同して「旅おこし」の実践を行う

明治大学商学部の「特別テーマ実践科目」という、座学だけでなく、実際に現場に出て課題解決のために活動を行う授業があります。旅おこしの活動は、その授業の一環として行われています。

明治大学商学部の特別テーマ実践科目とは、社会の中に実存するさまざまな課題を読み解き、その解決策を企画・実行し、成果をまとめ報告するという一連の実践的な課題解決プロセスを、地域連携や産学連携といった学外との協力関係を活用しながら経験してもらい、課題発見力、企画構想力・課題解決力、情報発信力といった社会で求められている能力の育成を目指す正課科目です。引用:明治大学ホームページ

なお、名取市閖上地区での活動は、宮城県名取市にある尚絅学院大学の学生との共同プロジェクトとして取り組んでいます。

宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区と、群馬県上野村の2 地域で活動

本授業の実践フィールドは宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区と群馬県上野村です。

宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区

宮城県名取市閖上地区は東日本大震災の津波で壊滅した“失われたまち”です。空間的には確かにこのまちはすでに存在しませんが、ここで培われてきた共同体としての暮らしの文化は人々の記憶の中に残っています。被災地の空間的な復興ではなく、閖上という共同体の復興が私たちの活動目標です。

平成24年度から閖上というまちにあった暮らしの文化を調査し、「新閖上風土記」を編集・発行しました。閖上の人々が愛した「閖上たこ焼き」の復活にも取り組みました。そして、これら暮らしの文化をアクティビティとして組み込んだモニターツアーを毎年企画、運営しています。

群馬県上野村

群馬県上野村は長野県境にある山村です。人口は約1,300人で高齢化率は40%を超えており、さまざまな課題を抱えていると言えます。

しかし、そこには“公共のためにみんなで協力して活動することを表す”「おてんま」という文化がしっかりと残されています。白井という集落の方々によると「“おてんま”こそが村の文化の原点」なのだそうです。落ち葉の清掃や旅人に対するおもてなしを集落の皆さんが共同で行っています。収穫物のおすそわけもそのひとつです。

私たちはこうした“おてんま”の文化のすばらしさに感銘を受け、都会の若者にも実感してもらおうというツアーを企画、運営してきました。集落のお年寄りたちは若者が来てくれるだけで元気になると言ってくれます。若い旅人たちをまるで我が孫のようにもてなしてくれます。こうした交流を通じて、本受講生や若い旅人たちは「この村を消滅させたくない」という思いを強くもつことになります。

旅おこしの「旅」

自分たちの日常を楽しんでくれるお客様の姿を見ることによって、地域の人々はうれしい気持ちになります。その笑顔にふれることによって、お客様もまたうれしい気持ちになります。そして、それぞれのうれしさがつながることによって、観光客と受入れ地の住民という関係を超えた人と人の絆が生まれます。

大きな経済効果は期待できませんが、人々の幸福感を高める効果がもたらされます。これが私たちの行う「旅」での風景です。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私たちの活動のことを、お分かりいただけたでしょうか。今年度で7年目を迎え、ますますパワーアップしていきます!ぜひ、ご期待ください。

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